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公益社団法人が破産申立された?!―公益社団法人徳島市観光協会

【ポイント】
公益社団法人徳島市観光協会が、債権者である徳島市から、破産手続き開始を徳島地裁に申し立てられたことが明らかになりました。

「阿波おどり」といえば、日本の夏を代表する風物詩の一つ。現在は、公益社団法人徳島市観光協会(以下、観光協会)が主催している行事です。
3月、観光協会の債権者である徳島市が、同協会の破産手続き開始を徳島地裁に申し立てたことを明らかにしました。

公益社団法人が、債権者からの破産手続き開始を申し立てられる、というのは衝撃的なニュースでした。しかも、債権者からの破産手続き申立は稀なケース(回収面でメリットがない、弁護士費用や予納金などの金銭負担が大きいなど、債権者にとってメリットが薄いため)で、よほどの事情があったことが伺えます。

徳島市の「阿波おどり事業特別会計の累積赤字の解消策等に関する調査報告書」(以下、報告書)によると、観光協会では阿波おどり事業については特別会計を組んでおり、この特別会計には平成28年度末には4億3600万円の借入残高、累積赤字が4億2,400万円ある、といいます。

    報告書によると、会計処理に関する問題点として、

  • ・複数見積契約が履行されていないと思しき事例や、支払の根拠となる関係書類が保管されていないなど、会計処理規定にのっとった処理がなされていない事例がある。
  • ・特別会計の経常費用が全て直接費により構成されており、共通費の配分がなされていないといった不適正と思われる処理が認められる。
  • などが指摘されています。

また、特別会計の執行管理状況についても

  • ・累積赤字が増加の一途をたどる状況においても、観光協会内で収支改善、累積赤字の解消に向けた議論がなされた形跡に乏しい。
  • ・阿波おどり事業の運営計画や運営方法について協議はなされているが、事業の収支均衡の実現に向けた検討(PDCAサイクルによる経営改善等)がなされていない。
  • ・中長期的な事業計画、財政計画が検討されていない。
  • といった問題点を挙げています。

徳島市は、阿波おどり事業の公益性の観点から、これまで観光協会の借入金にかかる損失補償契約を結んでいたそうです。
しかし、観光協会のこれまでの事業執行、運営管理を見るに、損失補償の趣旨に適合した運営であったとは言いがたいこと、事業執行体制上の問題点があるため、累積赤字の解消ができていないことも指摘。

平成30年3月に観光協会の指定管理契約が終了し、指定管理料が入らなくなることから、観光協会自体の組織や事業の縮小は避けられず、累積赤字解消に関する市の呼びかけにも応じていないことなどから、阿波おどり事業における観光協会と徳島市等との協力体制に懸念がある点も問題視され、今後、観光協会が累積赤字を解消しつつ、阿波おどり事業を継続していくことはきわめて困難と断じられました。

この報告書を見る限りですが、収支均衡に対する視点の欠如、不適切な会計処理、そしてそれらを正しくしようとする当事者意識の薄さが感じられました。

公益法人は、自主・独立した運営が求められる組織です。
運営事業をつつがなく実施するだけが仕事ではありません。
適正な会計処理にのっとって、法人の中長期的な事業計画、財政計画を検討すること、そのために財務諸表を有効に活用していくことも重要なのです。
法人のガバナンスを語る上で、「お金のことは全くわからない」では済まされないのだ、と改めて思いました。

このニュース、今後の動きにも注目したいです。

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