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「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」公益法人等が抑えるポイント

なぜ公益法人等が気にしなければいけないの?

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」の法人等とは、「法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるもの」が対象です。公益法人等も対象となるため、法律の内容を理解しておくことが必要です。

2022年12月、寄附の不当な勧誘による被害の救済、再発防止のため、寄附の適正化の仕組みを構築する「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」が成立し、2023年1月5日から施行されました。

法律の名前の通り、法人等による寄附の不当な勧誘の防止を目的としたもので、もともとは生活に必要なお金や借金をして寄附をするなどの、かなり極端な事案への対応を想定したものです。

想定されているような極端な事案は、公益法人等(公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人)が行っていることはないと思いますが、かといって「この法律は全く気にしなくても良い」というわけではありません。

法律名にある「法人等」とは「法人又は法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるもの」のことを言います。
宗教法人や宗教団体のみならず、幅広い法人や団体に対する法律、といえます。もちろん、公益法人(公益社団法人、公益財団法人)、一般法人(一般社団法人、一般財団法人)も例外ではありません。

そこで心配されるのは、例えば寄附を受けた時、寄附者は納得の上で寄附をしたにもかかわらず、ご家族の方がこの法律を盾に返金を要求してくるケースなど、法律の理解が不十分なために起こりうるトラブルです。
こうしたトラブルを防ぐには、法人側がきちんと法律を理解しておくことが不可欠です。

寄附を勧誘する側の規制

寄附の勧誘を行うにあたっての「配慮義務」と、寄附の勧誘に際して寄附者を混乱させる不当な行為について示した「禁止規定」があります。

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」には、寄附を勧誘する側に対するものとして「配慮義務」と「禁止規定」があります。

【配慮義務】

寄附の勧誘を行うに当たって、以下の点に十分に配慮しなければなりません。
①自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする。
②寄附者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする。
③勧誘する法人等を明らかにし、寄附される財産の使途を誤認させるおそれがないようにする。

=配慮義務は「寄附の勧誘によってもたらされる結果としての個人の状態等」に着目したものです。
例えば、法人等が寄附の勧誘を行うに当たっては、個人が寄附をするかどうかについて適切な判断をすることが困難な状態等をもたらさないようにすべき、という規範を示すもので、こうした結果をもたらすのはどういうことか、をより幅広く捉えることを可能としています。
なお、配慮義務に反するような不当な寄附の勧誘が行われた場合には、民法上の不法行為の認定及びそれに基づく損害賠償請求を容易にするものと考えられます。

【禁止規定】

(1)居座り、帰れなくする、相談の連絡を妨害する、恋愛感情等に乗じたもの、霊感による寄附の勧誘(不当な勧誘)
「寄附の勧誘に際し、以下の不当な勧誘行為で寄附者を困惑させてはいけません。
①不退去、②退去妨害、③勧誘をすることを告げず退去困難な場所へ同行(★)、④威迫する言動を交え相談の連絡を妨害(★)、⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知、⑥霊感等による知見を用いた告知(寄附をすれば悪霊が去り、病状が良くなりますなど)」
(★)は2023年6月1日施行

(2)借金や生活費、事業に必要な資産の処分による寄附資金調達
「借入れにより、又は現に居住している不動産若しくは生活の維持に欠くことのできない事業用の資産で事業の継続に欠くことのできないものの処分により、寄附のための資金を調達することを要求してはいけません。」(公布日(2022年12月16日)から1年以内に施行)
つまり、借入れをして寄附するよう要求する行為や、居住用不動産や個人等の生活の維持に欠くことができない事業用資産について、あえて処分による換金という手間をかけさせて寄附するように要求する行為を禁止しています。

これらの規制に違反した場合には、行政上の措置や罰則の対象となる可能性があります。
▼詳しくは、消費者庁のHPをご参照ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/other/#law_001

不当な勧誘により寄附した方や家族の救済

不当な勧誘により寄附した方や家族の救済として、寄附の意思表示の取り消しや、債権者代位権の行使に関する特例が認められています。

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(本法)には、不当な勧誘により寄附をした方や家族の救済措置も規定されました。

寄附の意思表示の取り消しがまず一つです。
もう一つは、扶養義務等に係る定期金債権(婚姻費用、養育費等)を有している家族は、本人の寄附の取消権等について、将来債権を保全するために債権者代位権を行使することができます。(債権者代位権の行使に関する特例)

債権者代位権とは、債権者(お金を貸した者など)が債務者(お金を借りた者など)に代わって債務者の権利を行使することです。
債権者代位権の詳しい説明は専門的な話になるため省きますが、簡単に言うと「借金をして寄附をしてしまった方への救済措置の一つ」と考えてよいでしょう。

また、不当な勧誘による寄附をした方やその家族が、寄附の意思表示の取り消しや債権者代位権の行使をして被害回復できるように、法テラス(日本司法支援センター)や関係機関と連携して相談しやすい体制を整えていくこととしています。

▼詳しくは、消費者庁のHPをご参照ください。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/other/#law_001

想定されるトラブルにあらかじめ対応を!

イベントでの寄附募集の際に、禁止規定に抵触するような仕組みになっていないかどうか確認しておくことが重要です。詳しくは、顧問弁護士等の専門家にご相談ください。

「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(本法)の法人に対する配慮義務や禁止規定は、かなり特別なケースであることはご理解いただけるかと思います。
一方で、公益法人等が本法の適用を受ける法人である限り、当初想定されていた特殊なケースとは異なるものの、本法に抵触するものとして問題になる可能性もあります。
現時点では単なる想定になりますが、本法に抵触するかもしれないケースについてお話しいたします。

(ケース1)

法人の活動発表のイベントで寄附を募りたいと考え、HPやイベントのパンフレットなどであらかじめ寄附に関する情報を掲載していた。
イベントは参加費無料と銘打っていたものの、受付と寄附の窓口が兼ねられており、実質的に寄附をしないとイベント会場に入れない仕組みになっていた。
(逆に、イベントは無料で行われたものの、会場出口が寄附受付を兼ねており、寄附をしないと会場から出られない仕組みになっていた)

(ケース2)

非営利法人の事業勉強会を開催し、活動資金には寄附金が非常に大事であるというトピックスを取り上げる。
さらに、セミナー参加者全員に「寄附をお願いします」と法人の担当者が横について何回もお願いをしたり、「後日の振込でよいので、今ここで寄附金申込書を書いて欲しい」と寄附金申込書の記載方法まで説明し、申込書を書かないと話が終わらないような流れになっていた。

以上のようなケースは、熱心に寄附のお願いをするあまりに禁止規定に抵触する可能性があるかと予想します。
また、寄附者本人は納得の上の寄附だったとしても、ご家族にとって納得のいくものでなかった場合、本法を盾に寄附の返金などを求められる可能性もあります。

公益法人の場合、その寄附が取り消されたことによって財務3基準を満たせなくなる、といった危険性もあるため、決して軽視はできません。
寄附の勧誘について、寄附の案内や勧誘の場所ややり方などを確認し、本法に抵触することがないかを今一度ご確認ください。万一の際には適法かつ誠実に話し合うことが大事だと思います。詳しくは、顧問弁護士等までご相談ください。


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