公益法人の移行レポート~公益財団法人 日本法制学会
現行の公益法人は、平成25年11月までに公益財団法人・公益社団法人への移行認定の申請又は、一般財団法人・一般社団法人への移行認可の申請を行う必要があり、移行が認められなかったり、申請を行わなかった法人は解散したものとみなされる―
これが、いわゆる「公益法人制度改革」の概要です。
いずみ会計のお客様の中には、すでに移行認定・認可をうけたお客様もいらっしゃいます。
今回ご紹介するのは、
公益財団法人日本法制学会さんです。
日本法制学会は、文部科学省所轄の民間財団で、法律知識の普及一般化を図り、あわせて社会文化の向上発展に寄与することを目的としています。
今年で100周年を迎える歴史ある団体で、研究助成、研究調査、社会貢献を主な事業の柱にしています。
近年では、阪神・淡路大震災を機に災害ボランティア活動を支援するための組織「災害救援ボランティア推進委員会」を発足し、事務局団体を引き受けています。
この活動は、公益法人の役割の中にボランティア活動支援を位置づけるものであり、2004年1月に防災まちづくり大賞において総務大臣賞、2004年9月に防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞する評価を受けるなど、高い評価を受けています。
昨年の東日本大震災のときは、災害救援ボランティア活動を開始し、東京都の帰宅困難者支援活動、千葉県旭市での津波被害や浦安市の液状化被害に対する支援活動など、震災直後から精力的な活動を続けています。
日本法制学会は記念すべき100周年をめどに公益認定をめざしてきました。
そして今年4月から、公益財団法人として新しい一歩を踏み出しはじめました!
公益認定の体験談を、理事長の澤野次郎氏にうかがいました。
―苦労した点はありましたか。
澤野氏「弊法人は長い歴史を持つ団体ですから、今の時代や基準にあわせて内部改革しなければいけないところがありました。
ただし、これはあくまでも内部の問題であって、外からの指摘や制度改革とは関係なく、いつかはやらなければいけない、と考えてきたことです。
例えば内部改革すべき点の一つに、管理費をいかにして減らすか、という課題がありました。
そのままでも公益認定を受けるための公益比率等の問題はありませんでしたが、事務所の移転や役員報酬の削減、公益目的以外の財産処分など、具体的なアクションを起こして取り組みました。
これは役員の責任です。
そういった意味では、制度改革が法人の内部改革に取り組むきっかけになったかもしれませんね。」
―制度への対応は自然にできた、ということでしょうか。
澤野氏「制度改革の前から立ち入り検査などを通じて、監督官庁の指導を受けてきました。
弊法人の場合、こうした指導にきめ細かく対応した結果、公益認定申請を決定する前に大枠はできていたわけで、それに規則等づくりで肉付けをしたという実感です。
ですから、従来から公益目的事業に取り組んできていて、将来の事業展望もある公益法人にとっては、公益法人制度改革は内部改革のスピードを早めるきっかけになる、という側面が大きいのではないでしょうか。」
―これから公益認定をめざす団体にアドバイスを。
澤野氏「小さな団体はもちろん、ある程度自力で作業ができる団体にも、専門家のアドバイスがあるといい、というのが私の考えです。
その理由は内部改革をすすめるには外部の目が必要だということです。
また同時に、それは新しい制度についての職員研修の意味を持つものなので、コスト的に高いものではありません。
■公益財団法人 日本法制学会
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