長期入院中の理事を解任できるか?
【質問】
当法人(一般社団法人)の理事(常勤)の一人がここ数ヶ月入院しており、職務復帰のめどが立ちません。
この理事については、解任することを考えていますが可能でしょうか?
また、当法人の常勤の理事には、報酬を支払っていますが、この報酬の支払をやめることも可能でしょうか?
【回答】
数ヶ月の入院を経ても復帰のめどが立たない場合は、解任について正当な理由があると考えられるため、解任することは可能です。また、報酬の支払をやめることもできます。
法人法上、役員及び会計監査人は「いつでも、社員総会の決議により解任することができる」とされています。
一方で「解任された場合、その解任について正当な理由がある場合を除き、一般社団法人に対して、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」という定めもあり、正当な理由なく役員等を解任した場合には、損害の賠償をしなければならない、とされています。
では「正当な理由」とはどういうことかというと、法令定款違反の行為がある場合に加え、病気が悪化して療養に専念する場合など、理事の適格性が失われたことが考えられます。
そのため、ご相談の方の場合は、数ヶ月の入院療養を経ても職務復帰が難しく、今後も療養に専念することが考えられるため、正当な理由があり解任することが可能です。報酬の支払をやめることもできます。
正当な理由があるため、損害賠償も不要です。
ちなみに、正当な理由なく役員等を解任した場合の損害賠償額とは、残存任期に相当する報酬額及び終任時に受けるであろう利益の額の合計額とされています。
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