名前だけの監事、責任は?
【質問】
知人から頼まれて、ある法人の監事に就任しました。
監事とはいえ、名前だけのものであり、報酬もゼロで監事としての活動もほとんどしていません。
こんな私でも、何かのときには法的な責任を問われるのでしょうか?
【回答】
報酬がゼロである、名前だけの監事であるといったことをもって、法律上、他の監事と区別されることはありません。
責任を問われる可能性は十分にあります。
知人から頼まれて監事として名前を貸しているだけ-こうしたケースはよく見受けられます。
しかし、名前だけの監事であっても、法律上、他の監事と区別されることはなく、一様に義務が課されます。
義務に違反した場合の損害賠償責任も、当然、負うことになります。
これは報酬がゼロの監事も同様です。
名前だけだから、報酬がゼロだから、という理由で、監事の義務を履行しなかったり、適当に済ませてしまうことは避けるべきです。
また、「名前だけでいいから」などと言われて監事就任を打診された場合であっても、監事に課される義務を履行できるかどうかで引き受けるかどうかを判断して下さい。
もし義務を履行できないのであれば、就任は避けるべきです。
ちなみに監事になった場合に発生する義務や責任は大きく次のようなものがあります。
(1)法人に対して善管注意義務(※)を負います。
※善管注意義務とは、善良なる管理者としての注意義務の略であり、法人の管理者として一般に期待される水準の注意義務、といったものです。
(2)理事会への出席義務
(3)理事(理事会)への報告義務
(4)議案等の調査義務、社員総会への報告義務
監事がこれらの義務に違反して法人に損害を与えた場合は、任務を怠ったとして法人に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
また、悪意または重大な過失により(義務違反と知りながら、または重大な不注意によって知らずに)、第三者に損害を与えた場合には第三者に対しても損害賠償責任を負うことになります。
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