一般社団法人、一般財団法人の定款認証に新たな制度
【ポイント】
2018年11月30日から、一般社団法人、一般財団法人の定款認証の際に、実質的支配者となるべき者の住所、氏名、生年月日等とその者が暴力団員等に該当するか否かを公証人に申告するなど、定款認証の方式が変わりました。
2018年11月30日から、改正公証人法規則が施行され、定款認証の方式が変わりました。
新たな認証制度の対象法人は、一般法人(一般社団法人、一般財団法人)と株式会社です。
改正の内容のポイントは、次の2点で、電子認証、書面による認証いずれも新たな制度の対象となります。
●ポイント
(1)定款認証の嘱託人は、法人成立の時に実質的支配者となるべき者について、その氏名、住居、生年月日等と、その者が暴力団員等に該当するか否かを公証人に申告する必要がある。
(2)申告された実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当し、又は該当するおそれがあると認められた場合には、嘱託人又は実質的支配者となるべき者は、申告内容等に関して公証人に必要な説明が必要となる。
(3)(2)による説明があっても、暴力団員等に該当する者が実質的支配者となる法人の設立行為に違法性があると認められる場合には、公証人は、認証をすることができない。((1)の申告や(2)の説明自体がない場合も同様)
(4)実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当しないと認められる場合には定款の認証を行うが、その認証文言は、従来のものに、「嘱託人は、『実質的支配者となるべき者である○○○○は暴力団員等に該当しない。』旨申告した。」旨の文言が付加される。
ここでいう「実質的支配者」とは、一般法人の場合、次のような者をいいます。
●実質的支配者とは
(1)出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人(上場企業等及びその子会社は「自然人」とみなされます)は、該当者全てが実質的支配者となる。
(2)(1)による実質的支配者が存在しない場合、設立する法人の代表権を持つ理事が実質的支配者となる。
定款認証を嘱託される者は、法人成立の時に実質的支配者となるべき者が誰かを判断し、ときには調査が必要となる場合があります。
実質的支配者となるべき者に関する氏名等の申告は、日本公証人連合会のホームページにある「申告書」の書式をダウンロードして必要事項を記載し、公証人に提出(FAX、郵送、持参のほか、PDFファイルのメール送信でもOK)します。
この申告は、定款認証の嘱託までに行なう必要がありますが、迅速かつ的確な定款認証・法人設立を実現するためにも、定款案の点検を公証人に依頼する際に、併せて実質的支配者となるべき者に関する申告するよう協力を求められています。
この改正は、法人の実質的支配者を把握することなどにより、法人の透明性を高め、暴力団員及び国際テロリスト(以下「暴力団員等」という。)による法人の不正使用(マネーロンダリング、テロ資金供与等)を抑止することが国内外から求められていることを踏まえての措置であるとされています。
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