公益認定取り消しの勧告―公益社団法人日本ポニーベースボール協会
【ポイント】
公益社団法人日本ポニーベースボール協会の公益認定の取り消しに関する勧告を行いました。社員総会を開催しなかったこと、開催していない社員総会を開いているように事業報告したこと、議事録の偽造など、ガバナンスに大きな問題があったことが主な原因です。
2月26日、内閣府公認認定等委員会が、内閣総理大臣に対して、公益社団法人日本ポニーベースボール協会の公益認定を取り消しに関する勧告を行いました。
公益認定取り消しの理由は以下のとおりです。
(1)公益認定を受けて以降の4か年度、最高意思決定機関である社員総会を一度も開催していなかったこと。
(2)社員総会を開催していないにもかかわらず、事業報告では社員総会を開いている旨の虚偽の報告を続けたこと。
(3)代表理事が、特定の理事の退任届を偽造し、また開催していない社員総会議事録及び理事会議事録を偽造し、役員の変更について不実の登記を得たこと。
勧告書では、(1)、(2)は一般法人法の違反や公益認定法の趣旨に違反する行為であり、(3)については刑法に規定する私文書偽造等、公正証書原本不実記載等に抵触する行為であることが示されています。
こうした法令違反を犯しているにもかかわらず、こうした行為を主導したとされる代表理事の責任も追及しない点などを踏まえて「公益目的事業を行うのに必要な技術的能力を有するものである」という公益認定法に定める基準に適合していない、とも指摘しています。
こうした事実確認の過程で、さらなる法令違反や、少年への暴言・暴力事案に対する不適切な対応体制、理事の印章を代表理事が管理し、押印するなどの不適切な印章管理や押印、不適正な経理処理など、さまざまな問題が発覚し、このたびの勧告にいたったようです。
法人への是正勧告を経ずに取り消し勧告が出されたという点でも異例といえるケースでしょう。
日本ポニーベースボール協会は少年野球を管轄する組織の一つで、子供の成長にあわせて2年ごとにリーグわけしたシステムで運営されており、プロ野球で活躍する選手などがプレーしたことで知られています。
その活動は、熱心に野球に取り組む子供たちを支える、公益性の高いものであることが予想されます。
ずさんな法人運営やガバナンスによって、すばらしい活動に水を差すような結果になってしまったことは非常に残念です。
新年度が始まった今、法人運営やガバナンスについて、改めて法令を確認する機会にしていただければと思います。
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