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収支相償解消が満たせない場合―第一段階と第二段階

【質問】
公益社団法人です。今期行なっている事業について、予想以上の収益が上がって費用を上回ることが確実となり、収支相償を満たせそうにありません。
どうしたらよいでしょうか?


【回答】
収支相償は、第一段階として公益活動の各事業単位で収支を確認します。第二段階として、法人の公益活動に属する収支も加味し、法人の公益活動全体の収支で考えます。

公益法人(公益社団法人、公益財団法人)はその公益目的事業を行うに当たり、原則として当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはいけない、とされています。これを「収支相償」といいます。
収支相償の計算においては、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較し、原則として各事業年度において収支が均衡することが求められます。(なお、収益より費用のほうが大きい状態ならば収支相償を満たしている、と考えます)

しかし、ある事業年度において、収入が費用を上回ってしまうことはありえることですし、実際にそういうケースは少なくありません。

こうした場合、収支相償は二段階で判断されます。
第一段階として、各事業単位で収支を確認します。この段階で収入が費用を上回る場合は、その額はその事業の発展や受益者の範囲の拡充に当てられるべきものであり、当該事業に係る特定費用準備資金として計画的に積み立てることによって収支相償の基準を満たすものとなります。

第二段階として、第一段階の収支相償を満たす各公益目的事業に加え、必ずしも特定の事業に係る収支には含まれないものの、法人の公益活動に属する収支も加味し、法人の公益活動全体の収支で考えることになります。

その際、収益事業等からの利益の50%超を公益目的事業財産に繰り入れる場合には、仮に収入が費用を上回っている場合であっても、特定費用準備資金への積立等を加えた公益目的事業に関する全ての資金収支で不足が生じる場合には、剰余金が生じることはありません。

第二段階において収益事業等の利益の50%超を公益目的事業財産に繰り入れる場合、収入が費用を上回る場合には、その額は公益活動全体の拡大・発展に充てられるべきものと考えられますので、公益目的事業に係る特定費用準備資金として計画的に積み立てます。
ここでも剰余金が生じる場合は、公益目的保有財産となる実物資産の取得又は改良に充てるための資金(資産取得資金)への積立を行なうか、当期の公益目的保有財産の取得に充てれば、収支相償の基準を満たすものとして取り扱います。

なお、遊休財産額の保有の制限との関係では、収入が費用を上回った場合でも、上回る額を公益目的保有財産の取得、特定費用準備資金や資産取得資金への積立のように使途が決まった控除対象財産として整理している限りは遊休財産には該当しません。

こうした「資金を他の資産に変える」方法に加えて、事業の拡大などによる剰余金の具体的な処理計画を示すことで、収支相償を満たすケースもあります。
この場合、翌事業年度に事業の拡大等により、同額程度の損失となるように、剰余金の処理方法を具体的に説明することになります。

公益法人の「収支相償」とは、公益法人が利益を内部にためずに、公益目的事業に充てるべき財源を最大限活用して、無償・低廉で利用しやすい価格でサービスを提供し、受益者を広げようとするもので、公益法人が受けている税制優遇の重要な基礎となるものですので、きちんと要件を満たすよう、早めに計画し、きちんと実施することが大切になります。

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