令和4年の年末調整―扶養控除等申告書でよくある質問
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」欄とは?
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」欄は、条件を満たして副業の勤め先に「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」を提出した方がチェックする欄です。
年末調整の際に提出する扶養控除等申告書は、本来ならば年末調整を受けるメインの勤め先(=主たる給与等の支払者)のみに提出するものです。
しかし、扶養控除等申告書の右上のあたりに「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」の有無を尋ねるチェック欄があります。
これは、副業のアルバイト先にも扶養控除申告書を提出しなければいけない…ということではありません。
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」とは、2か所以上から給与等の支払を受ける会社員で、メインの勤め先(=主たる給与等の支払者)から支給される給与だけでは、扶養控除等の人的所得控除が控除しきれないと見込まれる人が、副業の勤め先(=従たる給与の支払者)から支給される給与から、源泉控除対象配偶者について控除を受ける配偶者(特別)控除や扶養控除を受けるために行う手続きです。
該当する方は、副業の勤め先に「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」(右上に「従」と丸囲みで書いてある申告書です)を提出することによって行います。
この「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出した方は、メインの勤め先の扶養控除等申告書の「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」にチェックをすることになります。
新設欄「非居住者である親族」とは?
非居住者である親族欄は、海外に居住する扶養親族等がいる場合のみ記載します。
併せて一定の添付書類も提出します。
令和4年の年末調整のときに記載する「令和5年分の扶養控除等申告書」には「非居住者である親族」欄が新たに設けられました。
この欄は「海外に居住する親族」がいる場合にのみ記載します。
ここにチェック(源泉控除対象配偶者は〇印)をつけた場合、住所又は居所欄には、その親族の海外の住所を記載します。さらに、一定の添付書類も必要になります。
●親族関係書類
親族関係書類とは、該当する親族の「戸籍の附票の写し等」と「パスポートの写し」です。
非居住者である親族欄にチェックのある方は全て必要です。
●留学ビザの写し
「留学」欄にチェックをした方は、親族関係書類に加えて「留学ビザの写し」が必要です。
●38万円送金書類
「38万円以上の支払」欄にチェックした方は、親族関係書類に加えて、その非居住者である親族各人に、令和5年中における生活費又は教育費に充てるための支払の金額の合計額が 38万円以上であることを明らかにする書類の提出が必要です。
(海外送金の通帳コピー、親族が使ったクレジットカードの支払いを自分がしている場合のクレカ利用明細書のコピーなど)
「非居住者」というと、同居していない親族のことかな?と考える方もいらっしゃいますが、それは誤解です。「海外に住む親族」がいない場合は記入する必要はありません。
配偶者がフリーランスの場合の「所得の見込額」とは?
配偶者がフリーランスの場合、所得の見込額は収入から必要経費をマイナスした合計所得金額を記載します。
そもそも、扶養控除等申告書とは、扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために提出するものです。
そのため、源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族等の令和5年中の所得の見積額を記載する欄があります。
源泉控除対象配偶者に該当するかどうかは、扶養控除等申告書の裏面に記載してある要件に当てはめて考えればOKです。
すなわち、
「所得者(令和5年中の所得の見積額が900万円以下の人に限ります。)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます。)で、令和5年中の所得の見積額が95万円以下(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が 150 万円以下)の人」
ならば、源泉控除対象配偶者となります。
「所得の見積額が95万円以下」というのは、例えば配偶者の方がパートやアルバイトで給料をもらっている場合、収入金額が150万円以下ならば該当することがわかります。
しかし近年は、副業やフリーランスで働く方を紹介するサイトが多数出てきており、フリーランスで働く方も増えてきました。
給与ではなく請負業務に対して報酬を得て、事業所得や雑所得として確定申告している方については、所得の見積額の計算方法が少し変わってくるので注意が必要です。
事業所得や雑所得として確定申告している方は、収入金額から必要経費をマイナスした所得金額をもって所得の見積額を計算します。
青色申告特別控除がある場合は、それも加味して所得の見積額を計算してください。
新設欄「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」とは?
退職手当等を有する配偶者・扶養親族欄には、令和5年中に源泉徴収される退職手当等を受け取る予定の配偶者(生計を一にする配偶者で、令和5年中の退職所得を除いた合計所得金額の見積額が133万円以下であるものに限ります。)又は扶養親族について記載します。
令和4年分の年末調整の際に記載する「令和5年度の扶養控除等申告書」には「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」の欄があります。
ここに記載をするのは、令和5年中に退職金(源泉徴収される退職手当等)を受け取る予定のある一定の配偶者や扶養親族について記載をします。
一定の配偶者とは、年末調整する方と生計を一にする配偶者で、令和5年中の退職所得を除いた合計所得金額の見積額が133万円以下の方をいいます。
なお、この欄の右のほうにある「令和5年中の所得の見積額」は、退職所得を除いた金額を記載しますが、A. 源泉控除対象配偶者、B.控除対象扶養親族の右のほうにある「令和5年中の所得の見積額」欄は、退職所得も含めた金額を記載します。
これは、所得税と住民税で控除の対象が異なるために、必要な情報として記載するものです。
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