【新型コロナウイルスの影響】小規模事業者は消費税を有利に選択できる?!
【ポイント】
新型コロナウイルス感染症等の影響により、売上が著しく減少(前年同期比概ね50%以上)している事業者は、税務署に申請し承認を受けることで、課税期間開始後であっても消費税の課税事業者を選択する(やめる)ことができます。
つまり、消費税を有利に選択することができます。
小規模法人(原則として2期前の課税売上高が1,000万円以下の事業者)は、消費税の納税義務が免除される「免税事業者」を選択している方が多いかと思います。
しかし、このようなご時世の場合、あえて「課税事業者」を選択することで、より有利に消費税を利用できることもあります。
どういうことかというと、消費税の納税額は、原則として、課税期間(ざっくりいうと「期首から期末までの1年間」)ごとに「売上げに対する消費税額」(受け取った消費税)から、「仕入れや経費にかかった消費税額」等(支払った消費税)を差し引いて計算します。
ここで注意したいのは「仕入れや経費にかかった消費税額」=「支払った消費税」です。
経費の中でも人件費には消費税がかかっていないため、「支払った消費税」は人件費以外の仕入れや経費分だけしかカウントしません。
つまり、赤字の事業者でも消費税だけは納税する、ということもよくあるため、通常なら免税事業者を選択できるならば免税事業者を選択、というのは合理的な判断なのです。
しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、課税売上が大きく減少し、あわせて人件費も大きく減少したような場合、受け取った消費税よりも支払った消費税のほうが大きくなる可能性があります。
課税事業者であれば、支払った消費税のほうが大きい場合、申告によって支払いが過大になった分は還付=お金が戻ってきます。
免税事業者の場合、申告自体をしないわけですから、還付を受けることはできませんので、状況によってはあえて課税事業者になったほうが、消費税が有利になることもあるのです。
逆に言うと、課税事業者と免税事業者をコロコロと変えられると、(少々乱暴な言い方になりますが)国の消費税徴収には不利に働くことになります。
そこで、これまでは、課税事業者になる場合はその事業年度開始前までに申請すること、一度課税事業者を選んだら、2年間は継続することが併せて定められています。
以上が原則の話です。
しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者につき、次の要件に該当するときは、税務署に申請し、税務署長の承認を受けることにより、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択する(又はやめる)ことが可能となりました。
(要件1)
特例に係る法律の施行日(2020年4月30日)以後に申告期限が到来する課税期間において、
(要件2)
新型コロナウイルス感染症の影響により、 2020年2月1日から2021年1月31日までの期間の内、 一定期間(1ヶ月以上の任意の期間)の収入が著しく減少(前年同期比概ね50%以上)した場合で、
(要件3)
かつ、税期間の申告期限までに申請書を提出した場合
なお、この特例により課税事業者を選択する場合、 課税事業者を2年間継続する必要はありません。次の年に課税事業者をやめてもOK、ということです。
特に法人の家賃や光熱費などの消費税のかかる固定費の割合が高く、売上と人件費が大きく減った方は、消費税の還付が受けられるか、一度消費税額のシミュレーションをしてみることをオススメいたします!
(シミュレーションは顧問税理士等の専門家に依頼すればできます!)
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