会員等に有償で配布する会報、法人税の取り扱い
【質問】
会員向けに会報を有償で配布する場合、法人税はかかるのでしょうか?
【回答】
公益法人及び非営利型法人の場合、出版業として収益事業になる場合には、その収益は法人税課税の対象となりますが、収益事業にならない場合もあります。
会報を有償で配布している法人は少なくないかと思います。
そうなると、公益法人や、一般法人の中でも非営利型法人にとって、会報の有償配布が収益事業の一つである「出版業」(書籍、雑誌、新聞等、各種名簿、統計数値、企業財務に関する情報等の印刷物を販売する事業)に該当するかどうかが気になるところです。
法人税法上、「特定の資格」を有する者を会員とする法人が、その「会報等の出版物」を「主として会員に配布」する場合には、有償配布であっても収益事業には当たらないとされています。
「特定の資格」とは、法律上の資格(医師、弁護士、公認会計士等)や特定の過去の経歴(県人会、同窓会、職場の共済会等)に限られ、単に年齢や性別、趣味・嗜好が同じであるとか、思想、信条、宗教を同じとするだけでは該当しません。
また、「会報等の出版物」には、書店等で市販されるものは含まれません。
「主として会員に配布」とは、その部数の大部分(8割程度)を会員に配布していることが必要です。
この場合の8割程度の判定には、法人の関係者や入会希望者に無償で配布したものも会員に配布したものとみなしてかまいません。
また、学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報をもっぱらその会員に配布するために行なうものについても、有償配布であっても収益事業に当たらない、とされています。
この場合の「もっぱら」は、会報を会員だけに配布することをいいますが、会員でない者でその会に特別の関係を有するものに対して無償で配布しているものは会員に配布したものとして取り扱ってかまいません。
こうした収益事業にあたらない条件を満たさない「会報の有償配布」は収益事業として法人税課税の対象となる可能性が高いため、注意が必要です。
なお、非営利型法人以外の一般法人(一般社団法人、一般財団法人)は、全ての収入が法人税課税の対象となりますので、これらの区分に係わらず、その収益には法人税がかかります。
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