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どう変わる?公益法人のガバナンス ―「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告

どう変わる?公益法人のガバナンス ―「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告

法人の実情に応じた自主・自律的な取組とその情報公開

「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では、国民からの信頼確保に向けて、不祥事防止等のコンプライアンスの確保の観点や財務規律の柔軟化等に伴う説明責任の充実に加え、法人の多様性や実態に合わせた自律的なガバナンスを充実させるための様々な措置を講ずることが明記されています。

「様々な措置」の一つは、ガバナンス強化の取り組みの情報公開です。
「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では、これまでの公益法人における自主的・自律的なガバナンス強化の取組が見えにくい、という課題が指摘されました。

今般改革の基本的な考え方に沿って、各法人は積極的に自主的・自律的なガバナンス強化に取り組み、その状況を国民に対して積極的にかつ分かりやすく発信していくことが示されています。

具体的には、法人が自ら取り組んだ内部統制システムの構築等のガバナンス強化策を、情報開示の対象である事業報告書等に記載する予定です。
また、公益法人、経済界等と行政の協働により、法人のガバナンス強化の取組を支援するとともに、各法人の参考となる好事例を公表・展開を行うことも検討されています。

理事会・監事等の機能強化、会計監査機能強化等

公益法人運営は、理事・理事会を中心に、法人の機関(理事、理事会、監事、社員総会、評議員、評議員会、会計監査人)のそれぞれの役割が最大限発揮されることにより健全な運営ができます。
しかし、一部の法人で、理事による公益法人の私物化や内輪のみの法人運営が行われ、法人機関が健全に機能しない例が見受けられました。

こうした一部の法人のふるまいによって、公益法人制度全体の信頼を損なうことがないように、また、財務規律の柔軟化等に伴い適切な業務執行が行えるように、「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では法人運営の中心である理事・理事会の役割機能強化や、監査機能の強化が盛り込まれました。
その際、法人の多種多様な事業内容や規模等についても考慮し、法人が適切に対応できるように所要の経過措置を設ける必要性についても言及されています。

具体的措置として、次の4点が検討されています。
(1)外部理事・監事の導入
理事・監事については、外部からの人材登用を積極的に行うように法改正を行い、理事・監事について次のような規定を設ける予定です。
①理事について
理事のうち少なくとも1人は過去10年間法人の業務執行理事又は使用人でなかった者とする。(ただし、人材確保の観点なども踏まえ、小規模法人に関する規律の在り方は改めて検討する)
②監事について
監事のうち少なくとも1人は過去 10 年間法人の理事又は使用人でなかった者とする。監事の役割にも鑑み、小規模法人も含めて監事は法人内部出身者のみで構成しない。

(2)理事と監事の特別利害関係排除
法改正により、理事の職務の執行の監査を行うという監事の役割に鑑み、理事と監事で、相互に配偶者、三親等以内の親族等は除外する見通しです。

(3)会計監査人による監査機能強化
現行の制度では、会計監査人を設置する義務のある公益法人は「収益 1000 億円・費用損失 1000億円・負債 50 億円以上」と、かなり大規模な法人に限られています。
他の法人制度とも比較したうえでこれを見直し、会計監査人を必置とする範囲が拡大される政令の改正が予定されています。
ただし、小規模法人における法定会計監査の負担や公益法人の収益が社会に与える影響なども踏まえ、法令で一律に必置とする範囲は一定の収益規模を有する法人とし、それ以外の法人に対しては、そのニーズに合った監査機能強化及びその支援を行う。

具体的には、法令で一律に必置とする法人の規模を「収益 100 億円・費用損失 100 億円・負債 50 億円以上」に小規模化することが検討されています。
併せて、法的に設置義務がない法人に対しても、任意監査等の選択肢の提示や、監事に対する研修などを行い、監査機能の向上を図ることとされています。

(4)評議員の選任
理事が評議員の選任に実質的な影響力を行使するような不当な関与を排除する方策として、評議員の選任及び解任をするための評議員選定委員会を設けて候補を選任すること等を推奨することが検討されています。

行政による適正な事後チェック

「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では、法人運営の透明性の更なる向上や、ガバナンスの充実により、国民によるチェック機能や法人自身の自浄作用の向上を図る数々の施策が示されています。
そのうえで、なお生ずる不適切な法人に対しては、公益法人制度の信頼性を確保するため、行政庁が迅速に実効性の高い措置を講ずることが示されました。

(1)定期・網羅的な立入検査から不適切法人への機動的な立入検査へ
不適切な事案の発生を予防するための一律的なチェックから、事後的に実効性の高い措置を講ずる重点的なチェックへという方針の下、立入検査の重点化、監督措置の実効性向上に取り組んでいく方針です。

具体的には、現行の定期的・網羅的な立入検査の実施を見直し、内外からの通報や関係省庁との連携を重視し、着実・迅速な情報収集と事実把握を行い、不適切事案の端緒をつかんだ法人に対して機動的・集中的に立入検査を実施すること、また、組織的及び戦略的に立入検査を行うことができるよう、体制やその手法を見直すことを検討中です。

(2)監督措置の実効性向上
行政庁による、不適切法人に対する監督措置を強化する一方で、不適切法人が自律的な改善をするような措置も併せて盛り込まれています。

①行政庁における定期提出書類等の事後チェック強化の手法の早期確立を目指します。
特に今般の改革により変更認定手続のうち届出化する事項は、その事後チェックの実効性の確立がキーポイントになるでしょう。

②監督・処分に当たっての基本的な考え方をあらかじめ策定・公表する予定です。
これにより、法人の予見可能性を高め、自律や自発的な改善を促しつつ、不適切事案には行政庁による処分や罰則がタイムリーに行えることになります。

③法人に対する行政庁の勧告・命令等の監督処分の実施状況やこれらを踏まえた法人の改善状況については、内閣府が一覧性をもって公表する予定です。

④緊急性の高い事案については、勧告を前置しない命令などの措置や、行政庁による監督を待たずに自律的な改善をした法人に対する監督措置の減免など、自発的改善を促すための方策も検討課題として挙げられています。


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