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何が変わる?「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告とは?

最終報告、3つのポイントとスケジュール

多様化する社会的課題を解決するため、営利を目的としない民間非営利部門である公益法人等の皆様の果たす役割は重要性を増しています。

一方で、公益法人等の皆様が本来の目的である「社会的課題の解決」に継続的・発展的に取り組んでいただくために、時代に合わせた制度改革の必要性も叫ばれていました。

こうした動きの中で2023年6月、内閣府「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」は、公益法人制度の改革に向けた最終報告を発表しました。

最終報告によると、
1.より柔軟・迅速な公益活動展開のために
(財務規律の柔軟化・明確化、行政手続きの簡素・合理化など)
2.より国民からの信頼・協力を得ていくために
(透明性の向上、法人による自律的なガバナンスの充実など)
3.民間による公益的活動活性化のための環境整備
(公益信託制度改革、公益法人による出資等の資金提供など)
を柱として、公益法人制度改革を進めることが明らかになっています。

これらについては、令和5年の税制改正大綱で、公益法人制度、公益信託制度に関する会計基準やガイドラインがまとめられ、令和6年の通常国会で改正法案が国会に提出予定となっており、新公益法人制度は令和7年度、新公益信託制度は令和8年度をめどに施行予定です。

既にご承知の公益財団法人、公益社団法人の方々も多いとは思いますが、新公益法人制度施行に向けて、まずは令和6年の通常国会で審議される案についてご確認ください。

多くの法人が頭を悩ませる“2つの財務規律”が柔軟・明確に!

公益法人が公益活動に活用すべき資金は、過大に蓄積・滞留することなく、公益目的事業の実施のためにできる限り効果的に活用されることが重要です。
そのため、公益法人には様々な財務規律が設けられています。収支相償原則(フロー面)や遊休財産規制(ストック面)などがこれに当たり、制度上、財務規律が確保されていることが公益目的事業非課税等の税制優遇措置の前提となっています。

しかし、法人の実情や環境変化に応じ、自らの経営判断と説明責任において資金を最大限効果的に活用できるよう、規律内容を柔軟化・明確化することが「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告に盛り込まれています。

財務規律の柔軟化・明確化として挙げられているのは、次の2つのポイントです。
(1)収支相償原則の抜本的な見直し(中期的な収支均衡の確保)
(2)遊休財産(使途不特定財産)の適正管理

これらのポイントは、いずみ会計でもたくさんご相談いただいてきたことです。
その都度、「収支相償原則は毎年、絶対に赤字にしなければならない」は誤解であることを説明し、中期的な収支相償(実は以前から言われていたことだったのですが…)を目指せばよいことをお伝えしたり、所有する財産が遊休財産にならないか、どのように取扱えばよいのか、といった具体的なご提案をしてきました。

今回、こうした点が明確化・柔軟化されることは、非常に意義のあることだと考えています。

★詳しい解説はこちら★

どう変わる?!収支相償原則
どう変わる?!遊休財産(使途不特定財産)の適正管理

行政手続きの簡素化・合理化で迅速な事業展開が可能に!

公益法人制度の適正な運用を確保しつつ、多様で変化の激しい社会ニーズにきめ細かく対応していくには、必要に応じ柔軟・迅速に事業の改編や組織の再編を行っていくことが求められる。
そこで「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では、公益認定・変更認定や合併等に関する行政手続を簡素化・合理化した上で明確化することについて論じられています。

具体的には次の3つのポイントです。
(1)公益認定・変更認定手続の柔軟化・迅速化
(2)合併手続の柔軟化・迅速化
(3)公益再認定の際の欠格事項の見直し

公益法人として活動を続けていると、その時々で求められるニーズに合わせて事業内容は少しずつ変化することがあります。
その際に、変化した事業はそもそも届出等が必要なのかどうか、認定事項になるのかをまず判断し、手続きを経て事業に反映させる―となると、迅速な事業展開という面で問題がありました。
(現実問題として、いずみ会計でも毎年のように公益法人の顧問先様から、事業変更についてのご相談を受けております)
最終報告では、届出事項と認定事項の明確化についても触れられているため、行政手続きの明確化は、公益法人の事業を、社会のニーズに合わせて迅速に行う上で非常に重要なポイントになります。

★詳しい解説はこちら★

より柔軟・スピーディーに?! 公益法人運営に関する行政手続き

公益法人のガバナンスの充実に向けて

近年、公益法人のガバナンスにおいても、不祥事防止等のコンプライアンスの確保、財務規律の柔軟化等に見合う説明責任の充実などが求められています。
また、公益法人が継続的・発展的に社会的課題解決に取り組むためにも、支援や寄附は欠かせません。その基本となるのが「国民の信頼」であり、信頼を得るために充実したガバナンスが求められています。
法人運営の透明性の一層の向上、法人の内外からのガバナンスの充実等について、「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では次の点に取り組むことが示されました。

(1)透明性の一層の向上
(2)法人の自律的なガバナンスの充実
(3)行政による適正な事後チェック

★詳しい解説はこちら★

どう変わる?公益法人の情報開示
どう変わる?公益法人のガバナンス

民間による公益的活動の活性化に向けての取り組み

「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告では、「新しい資本主義」が目指す民間による公益的活動の活性化に向けて、次の取り組みについても検討されています。

(1)公益信託制度改革(公益信託制度の公益認定制度への一元化等)
(2)公益法人による株式保有、出資等に関する改革
(3)公益法人行政の DX の推進
(4)法人・経済界等との対話の推進等

これらの改正は、民間公益の選択肢拡大に向けた取り組み、ともいえるでしょう。社会の中で、公益法人はもちろん、様々な公益的活動が求められていることがわかる報告だと感じました。

★詳しい解説はこちら★

公益信託と公益法人が同じ枠組みに?!公益信託制度改革とは?
出資等の制約や基準、DX、インパクト測定・マネジメント。どうなる公益法人?!


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